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京都の老舗フランス料理店 レ・シャンドール

レ・シャンドールは、京の台所として知られる錦市場から少し北上した左手にある。扉を入ると、市場の喧騒を一気に忘れさせる凛とした空間がある。店内は、落ち着いたライティング、シンプルながら品のあるデコレーションが施され、そして不思議と暖かみも漂う。

田島シェフの「伝統的なフランス料理に固執し、こだわり続け、それを決して歪めることなく、フランス人にも受け入れられるフレンチを目指す。だからこそ、出来る限りフランス産の素材を使いたい。」という言葉通り、シェフの料理は、味の奥行きが深く、ボリュームもしっかりとした正統派フランス料理である。

その料理を初めて食した時の感動は未だに忘れられない。頼んだ鴨料理のフィレは、美しいロゼに焼き上がっており、鴨独特の風味と肉質のやわらかさは、付け合せのリンゴのグラティネ、濃厚なソースと一体となり、口の中でトロトロと溶けていくようだった。そして、もう一つ、ある冬の寒い日に、アミューズとして運ばれてきた一口のオニオン・グランタン・スープも忘れがたい一品。その温かい一口、玉ねぎの甘味、その絶妙のタイミングにホッとさせられながらも、「やられたぁ」との思いもあり、その後に続く料理に益々期待が募るものでした。

こうしたクオリティーの高い料理や心憎い演出、そして伝統的なフランス料理にこだわり続けている田島シェフの料理に共鳴し、長年、足繁く通っているお客様が多いのは当然。「フランスで食べ歩いている方、産地の違うハトの味わいを見抜いてしまう方、端境期による野菜不足を察知して"野菜持ってきてあげようか"と仰る方、本当に食通のお客様が多く、その期待に応えるためにも、毎日、気が抜けません。この18年間、お客様と共に歩きつづけ、育てられてきました。」このお客様との信頼関係、緊張感こそが、凛とした空気の中に暖かみのある雰囲気を店内に漂わせているのかもしれない。

ところで、田島シェフは、贈答用として、また、自宅でも楽しめるようにとスープやテリーヌなど様々な惣菜類も販売している。逸品揃いの品々は、もちろん顧客の方々にも好評だが、家にストックのある内は、お店から足が遠のいてしまう方もおり「販売はするが、来店数は減らさないこと!」という密約まであるそうだ。その中で、特筆すべきは和風鴨ロース。これは、京都の老舗料亭のお上も絶賛するほど。薄くスライスして、白髪ネギを少し乗せて、食べた時の美味しさ。ビール、日本酒、ワインどれにもピッタリの逸品だ。日本料理の腕も素晴らしいシェフ。「賄いも担当しています。和洋中、色々作っています。」との言葉に、思わず"スタッフ募集"の案内に目が釘付けになってしまったのは言うまでもない。

 フュージョン料理が台頭する中、とても大事な存在の一店だ。