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AGNEAU DE LAIT PAUILLAC
アニョー・ド・レ・ポイヤック
AGNEAU(アニョー)とは仔羊のこと。そして、LAIT(レ)は乳を意味する。つまり、AGNEAU DE LAIT(アニョー・ ド・レ)とは乳飲み仔羊をさす。
フランスでは、ボルドー地方ポイヤック産、アルプス山脈のシステロン産、ブルターニュ地方の仔羊が有名だ。ここでは、ポイヤック産にスポットをあてていこう。
まずは、その起源について。ポイヤックといえば、ラフィットロートチルド、ラトゥール、ムートンロートチルド゙といった名だたるワインの産地として超有名。そのポイヤックのぶどう畑とアニョー・ド・レの関係は深い。というのも、ぶどうの収穫後、畑は羊の飼育場所として開放されていた。羊の糞は絶好の肥料。その上、下草を食べてくれるので除草にも役立ち一石二鳥。ところが、ぶどうの新芽を食べてしまう仔羊たちの悪戯っ子ぶりには、シャトーのオーナーたちも困り果てた。そこで、仔羊を小屋に閉じ込めてしまう。やむなく母親の乳だけを飲んでスクスクと育っていく仔羊。それを偶然にも食したところ、あまりの美味しさにびっくり!これが、アニョー・ド・レ誕生の物語だ。そして、12世紀、ルイ7世とアキテーヌ公の娘アリエノールの婚礼メニューにも登場したほどの出世ぶり。その美味の歴史は長い。
ところが、19世紀後半、牧畜の衰退によりアニョー・ド・レの存在が危機にさらされる。
それを救ったのが、ジロンド県議会、そして当時羊飼いだった初代デュベルネ氏たち。以来、"量より質"という信念から守られ続けられたアニョー・ド・レ。現在では、IGP(地域呼称保護団体)の要請のもと飼育規格が制定。「生産地域はジロンド県に限定」「母親はジロンド県の伝統的品種、最低8ヶ月の放牧経験」「父親はベリションやシュフォルクなどの食肉用品種」「牧草および抗生物質は絶対与えない」「離乳食は粉乳と穀物を混ぜたもの」(なんと、フランス人赤ちゃんの離乳食もミルクにシリアルを加えたもの、とアニョーと同じ)「飼育日数は75日以下(基本的には65日以下)」など。その規格はA4紙にして数十枚以上に及ぶ。その厳しい規制があってこそ、ミルキーなだけではなくバターやノワゼットの香りを伴ったアニョー・ド・レとなる。
ところで、現在、アニョー・ド・レ・ポイヤックは、幻の存在への道を進みつつある。というのも、この仔羊の希少価値を高めようということから、ポイヤックの焼印を押すことができるアニョーの飼育認定区域を、さらに縮小することをI.G.P(地域呼称保護団体)が決定。また、人口受精を禁止。今までは人口受精により
一年中供給が可能だったが、自然の摂理に任せ誕生は春から 夏のみとなる。その決定を受けて、ポイヤックの飼育場をワイン 畑に変え始めている転職組も増えている。なぜなら、
基準の厳しい仔羊の生産よりもワイン作りの方が、経済効率が高いのが現実。こうした状況から、ポイヤックの絶対数はすでに減少中。 ただ、アニョー・ド・レ・プランシエと呼ばれる同じ品質の仔羊がいるので御安心を。その違いは、生産地域の規定。ポイヤックがジロンド県のみであるのに対して、プランシエはフランス南西部全体と広い。しかし、生産者は「アニョーの品質は、生産地域の特定によるものではない。いかに伝統的な飼育方法、アニョーを選別する千里眼に左右される。」と断言する通り、ポイヤックとの違いは特にない。
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