ジビエたちの紹介

ベカス(鴫)(Becasse)

 シギ科の渡り鳥。フランス語でbec(くちばし)の派生語ということからもわかるように、長く強靱なくちばしと短い足が特徴。体長は30cm程で、羽色は木の幹や枯葉と同じような色をしている。そのため見つけることが困難で、運良く見つけられても、2、3回羽ばたいただけで視界から見えなくなってしまう。そんなすばしこさが、愛好家を魅了し続ける所以であると言える。
 主に北部ヨーロッパに生息するベカスは、土の中の虫や幼虫を食べるため、地表が凍る季節になると大移動が始まる。北部や中部ヨーロッパのベカスは大西洋や地中海の方面へ向かう。スウェーデンのものはフランスのブルターニュやノルマンディーへ、ロシアのは中央フランスへ向かう。デンマークのも同様。スイスやオーストラリアのは地中海沿岸を目指して移動する。
ペルドロー・グリ(山うずら)(Perdreau Gris)

 キジ科の鳥で成鳥の全長は30cm程度、重量は350-400g。成鳥をペルドリックス(Perdrix)、生後8ヶ月までのものをペルドローと呼び、ペルドローの方が身が柔らかく美味しい。
 尾と羽根が短く、羽色は明灰色に焦茶の斑点がある。5月に産卵し、6月から7月の初めにかけて抱卵をする。
 シリアルやビートなどの耕作地を好み、2500M以下の山中や中部、西部フランスで見られる。
 くちばしと足が赤いものをペルドロー・ルージュ(Perdreau Rouge)と呼び、ソローニュ地方のボース(Beauce)に生息するものはペルドロー・グリ・ボースと呼んで区別する。100haに10〜20つがいしかいないと言われる希少なボースは、胸肉に綺麗な黄色いサシが入っているのが特徴。
ピジョン・ラミエ(モリバト)Pigeon Ramier

 極北を除くヨーロッパ全域の低木林や松、杉林に生息。ハトの中でも最大で、体長は30~50cm。大きさは500~700g。シーズンは9月~2月。色は青味がかったグレー。首の周りが白く、羽に白い縞がある。フランスのピレネー地方にも同じモリバトが生息しているが、地方種であり、地元ではパロンブと呼ばれている。肉は赤身で、飼育鳩に比べて肉の繊維が緻密で、香りが強い。
コルヴェール(真鴨)Colvert

渡り鳥の野鴨。最近は定住化の傾向にあり、フランスでは都市部で見かけることもある。シーズンは8月~2月。ヨーロッパ全域で生息。体調は50~60cm。大きさは900g~1.5kg(食の辞典)800g~1.2kg(ラルース)。雄の頭部が青緑色をしていることからフランスではcol(コル)=首、vert(ヴェール)=緑、と名付けられたが、日本でも「青首」とも呼ばれている。また、背はグレー、胸は茶色。野鳥は家禽よりも脂肪が少ないが、真鴨は他の野鳥に比べて皮と脂肪が厚い。メスはオスに比べてやや小さい。オスの方がジビエらしい力強い味わいがあると言われる一方で、メスの方が脂肪が厚いため風味が濃厚とも言われる。
フザン(キジ)Faisan

 キジ科の野鳥。原産地はアジア。ヨーロッパに伝わったのは中世初期。大きさは1.2~1.5kg。シーズンは11月~2月。オスは尾が長く(体長約80cm)全体的に赤褐色で輝きのある色合いをしている。メスは尾が短く(体長約60cm)、色は茶色。外見的に美しいのはオスだが、肉が柔らく美味しいのはメス。肉は白身で柔らく淡白な味わい。最近では、野生のものが減少しているため、野生のものを餌づけしたり、途中まで飼育で増殖し、狩猟シーズンに野に放しているが味は野生味に欠ける。中世以来、肉の香りと旨みを引き出すために絞めた後に数日間熟成させている。これをfaisanderという。ただ、最近では腐敗の心配と匂いの強さから老いたキジ以外にはあまり行わない。
グルース(雷鳥)Grouse

 ヨーロッパの大雷鳥はグラン・テトラと呼ばれる。雄は黒っぽい灰緑色に濃茶色の翼をもち、くちばしは白っぽい。雌は黄色っぽい茶色に波状の白い帯が入っている。肉質がよく大変好まれるが、飼育できないためもっぱら狩猟にたよるのみである。しかしながら、ピレネー、アルプス、ヴォージュなどの山中・高地に生息するため、狩猟はなかなか難しい上に時期も短い。
ラパン・ド・ガレンヌ(穴うさぎ)Lapin de Garenne

 穴に棲む野うさぎ。原産地はアフリカ。繁殖力が強い。大きさは1.0~1.2kg。うさぎの飼育は17世紀からスタートしたと言われるが、家うさぎは穴うさぎを飼育したもの。当時から料理法はロースト、グリル、ソテー。若いものほど肉がやわらかく、ふっくらとしたラーブル(背肉)、シミのない綺麗なレバーを持つ。色は淡いピンク。味は淡白なため、マリネしてから調理するとマリネ液の香りがよく残る。
リエーブル(野うさぎ)Lièvre

 野性のうさぎ。雑食性。ラパン(うさぎ)より大型で耳も長く、後脚も発達している。大きさは3.0~4.0kg。肉はラパンのような白身肉ではなく暗黒色をしており、強い野性的な香りを持つ。また、肉質は固く脂肪が少ない。現在では、狩猟により数が減少。生き残る野うさぎが10~20%と少ないため、再び増加させるのは難しい。オスはbouquin(ブカン)、メスはhase(アーズ)と呼ばれる。年齢によって呼び方も違う。生後2~4ヶ月の1.5kgほどの仔うさぎはlevraut(レヴロ、ローストにむく)、2.5~3kgのものをtrois-quart(トロワ・キャール、ローストまたはソテーに適した質の良い背肉を持つ)、1歳以上の4~5kg以上のものをcapucin(カプサン、シヴェなどの煮込みに使う)と呼ぶ。野うさぎは、2~3日で劣化するのでねかせる(faisanderフザンデ)するべきではない。最良品はパリ南のボース平野、シャンパーニュ、ブリー、ノルマンディーのものだが、特に高く評価されているのはペリゴール、ガスコーニュのもの。
パロンブ Palombes

 ラミエの品種と同じであるが、フランスのピレネー地方に生息しているモリバトをパロンブと呼ばれている。
 ヨーロッパの北から10月10日頃から11月11日頃にかけて南下してくる。パロンブ街中に生息しているラミエとははまったく異なり、野生の鳥で、自然の木の実のみを食している。
 肉は赤身で、鉄分の臭みがなく、格別な味わいを持っている。
 パロンブの捕獲量はアルデュード渓谷を含めごくわずかで、”カスミ網猟”と呼ばれる伝統的な狩猟方法で行われている。鳥を傷つけないように6本の木の間に垂直ネットを張って行われる世界で唯一の狩猟方法。アルデュード渓谷の1ヶ所を含め、バスク地方でも7ヶ所しかないとても希少なものです。この方法は渓谷の20人あまりのベテランハンターで行われている。